半日でベルギーを見ようだなんて、きっとベルギーに失礼すぎたんです。
2022年5月7日
イギリスに滞在した翌日、朝早くにユーロスターに乗って、ベルギーに向かいました。
早朝のロンドン
8時16分発の便を予約したら、出発の1時間半前には駅に着いていなさいと言われて。
そんなわけで、ホステルを出たのが6時。
眠い目をこすりながらトランクを引きずる、早朝のさわやかなロンドン。
St. Pancras station
ハリーポッターで有名なキングスクロス駅の隣にある大きな駅です。
ここからベルギーのブリュッセルに向かいます。
国境を渡るので、ここでベルギーの入国手続きが行われます。
ベルギーはまだコロナの入国規制が残っていたので、48時間前に個人情報と滞在先の届け出が必要でした。
無事スムーズに入国できることになって安心。
車内ではマスク装着の見回りが来て、なんだか日本の修学旅行みたいで笑えました。
ポンコツなユーロスター
そしてヨーロッパの誇るユーロスター、なんとwifiが使えない!ネットで使えるって読んだのになあ。全く繋がりませんでした。
Google mapのGPSも動かないという。mapによると、私は何故かいつまで経ってもロンドンのカムデンタウンにいることになってました。
自分が今どこにいるのか分からない。つまらないことこの上ない。私はこの体験に2万払ったのか…
ちなみにコンセントはありましたが、席の下にイギリスのBFタイプとEU圏のCタイプが1つずつ。自分の座る席が通路側か窓側かによって使えるタイプが異なるので、両方の変換プラグを用意しておいたほうがいいです。
まあ、隣の人にあなたの足元の方を使いたいと言える勇気があれば問題ないですが。
絶対にこういうタイプを購入しておいたほうが便利。
私?私ですか。トランクに腕を思いっきり突っ込んで、奥から自分の方のBFタイプを取り出しましたよ。だって去る国の、イギリスのプラグなんて使わないと思ったから。
途中少し暗くなったなと思ったら、なんとその間にドーバー海峡を潜ってました。本当に一瞬。乗車中 は冗談抜きに草原と闇しかなかったから、何の写真も撮りませんでした。
ポンコツなのは私だった
到着予定時刻の1時間前に、「そろそろブリュッセル〜」とアナウンスがあって、え?本当に本当のブリュッセル???と慌てふためく。
待って、まだ1時間早いよね…?って人に聞いた直後に、イギリスとベルギーの時差の存在を思い出して、勝手に自爆しました。
かくして、心の準備が出来ていないままに、ブリュッセルで放り出されました。
大変だ。
忽然と現れた言語達を見て、しばし硬直。
何一つとして理解できない。
どこにも英語の表記がありませんでした。
いや、ベルギー舐めすぎだろ。
フランス語とドイツ語とオランダ語が母国語だということは知っていたけど、出発1週間前からフランス語とドイツ語とオランダ語を叩き込むなんてことは到底不可能だったので、英語で強行突破する予定だったんです。
ブリュッセル中央駅へ向かう
中心地までは徒歩で15分程。でも駅を出て10mほど歩いて、思ったよりも交通量が激しくて、なんか挫けて戻りました。
駅のwifiは繋がりが悪すぎて、どの路線に行けばいいのかもわかりません。
既に疲れたので、仕方なく売店でワッフルを買って食べることに。
美味しかったけど、本当は有名なお店で食べたかったので失敗でした。
ここで、更なる悲劇が。
スーツケースにかけてたジャケットを車輪が巻き込んで、なんと穴を開けてしまってました。
上着なんて1枚でよかったのに、イギリスのバンドのライブで買ったこのジャケットを着て、彼らの地元を歩いて回りたいとかいう、アホな願望を私が持っていたが故に…
多分ここ数年で一番落ち込みました。
100%自分に非があるという事実が尚更応えました。
余りにもショックすぎて放心状態になっていたら、気がついたら手に持ってたはずのジュースが姿を消してました。このままだと二次災害を引き起こしかねない、そう思って冷静に戻ろうとしました。
これがこの旅で起こった一番最悪な出来事であるようにと祈りながら。
グランプラスへ
グランプラス(Grand Place)は、ベルギーの首都ブリュッセルの中心地の広場。
花の絨毯が敷き詰められるイベントで有名なところです。
意外とこぢんまりしてました。イタリアのミラノやヴェネツィアの広場よりずっとずっと狭かったです。
ユーロ圏を旅するのはイタリアに次ぐ2ヶ国目だったけど、建築物の外装はイタリアのそれとはまた違って、装飾の施された鋭角な屋根が豪勢で美しかったです。
私に高校時代の世界史の知識が一欠片でも残っていたら、これがどのような時代のどのような影響下のものなのか分かっただろうなあ。残念。
チョコレート屋さん Café-Tasse
お店の人が英語を全然喋れなそうでびっくりしたけれど、 終始にこにこしてて、試食もさせてもらえて良かったです。人へのお土産も含めて沢山買いました。
ブリュッセルの街は凄まじい坂道でした。
だって、さすがにそこまではGoogle mapで見ないから…
教訓。
スーツケースはとにかく預けろ。
こんなところでお金をケチるな。
ヨーロッパの凸凹の石畳は、完全にスーツケースに不向きでした。 何度も腕がもげそうになりました。
ブリュッセル王宮
マグリット美術館
ブリュッセルに来た1番の目的がこれです。
外観が可愛すぎるマグリット美術館。
美術館の中ならwifiもあるし落ち着けるはず。
そう思って入ったのに、wifiがありませんでした。
ベルギーには美術館にすらwifiがないのか… 愕然。
問題はそこではなく。ベルギーでの予定がなかなか立たなくて、時間指定の事前予約チケットを買ったのがギリギリだったから、印刷が出来なかったので、どうせwifiあるだろうし、着いてからPDFを見せればいいやと思ってました。
スクショすら取ってませんでした。
馬鹿すぎる。
かろうじて購入完了のメールが開けたから、ちゃんと買ったんだよ、ほら見て!とアピールしたら、仕方ないなあといった感じで「普通はダメだけど今回はいいよ…」と入れてくれました。
…助かった。
薄暗い館内
館内は薄暗くて、写真が撮りにくかったです。
でも彼の作品の謎めいた雰囲気を醸し出していてよかったかな。
というか。
自分のスマホのシャッター音がうるさい。
こんな機能がついてるのは日本製だけだから、静かな館内ですごく目立ってて最悪でした。
画家の名前を冠している美術館は、実を言うと、彼らを代表とする作品はあまり置いてありません。有名な絵はほとんどが、世界中の美術館に旅に出ているからです。
でもその代わり、彼らの生涯や、絵を描くにあたっての思想などが説明されていて、その画家のファンならば絶対訪問したいような場所です。
シュルレアリスム
彼のシュルレアリスム(surrealism)は、コンテンポラリーアートの先駆けとなったもの。
私は大学でコンテンポラリーアートを齧って、このジャンルの面白さにハマりました。全てを乱暴にまとめてしまえば、固定観念をぶっ壊そうって感じ?
この運動の理想は「夢と現実の矛盾した状態の肯定」らしいです。
私がこの類のアートで特に何が好きかというと、タイトル。
それ以前の絵画は大体、花を描いてその花の名前をタイトルに、人を描いてその人の名前をタイトルに。そんな退屈なものばかりで、ただの絵として、そこで完結していました。
でもマグリットは、巨大なリンゴの絵を描いて「リスニングルーム」なんてタイトルをつけてしまいます。
彼は、はあ?ってなるような絵を描いて、そこにはあ?ってなるようなタイトルをつけて、自分はこう思ったからこうだと思う!という「思考」を披露してくる。そんな人です。
だから絵がこちらに話しかけてくる。額縁の奥に無限の世界がある。見る人間がそこに飛び込むことができる。すごくワクワクします。
きっとこれは、絵を描く為の絵ではなくて、対話する為の絵。
言葉とイメージ
「名前のいらない物というものは存在する」
「絵の中では言葉はイメージと同質である」
「時として絵の中に書き込まれた名前は明確な物を指し、イメージは曖昧な物を指す」
「またその逆の場合もある」 etc.
難しいな…
(参考:マグリット美術館の最後に LES MOTS LES IMAGES 言語とイメージ | 「きらりの旅日記」 – 楽天ブログ)
ショップ
彼の代表作のポスターやグッズ等が販売されてました。
そういえば、ゴッホの作品は色々なところで服飾や雑貨のデザインとして使用されているけれど、マグリットの作品は見ないなあと思ったら、まだ彼の作品の著作権は切れていないみたいでした。著作権が切れたとたんにお洒落な雑貨に化けるに賭けていいです。
ポストカード
左はゴッホ美術館のもの。
ポストカードは安くて場所を取らないお土産だから、旅に出るたびに大量に買ってしまいます。
1つ目的を達成出来たし、帰り道は下り坂だったので、少し清々しい気分になって、ブリュッセルの街並みを眺めながら、駅までの道を下っていきました。
芸術の丘
小便少女
もっと有名な小便小僧も探そうかと思ったけど、ブリュッセルの街は結構入り組んでたし、なんか別にいいかな… と思ってやめました。
時刻はもう午後3時。
急いで第二の都市、アントワープへ向かいます。